小型動力ポンプ付水槽車

大型水槽車とも呼ばれ、5,000L〜10,000Lの水槽と小型動力ポンプを装備しており、無水利地区での火災に活躍します。以前は水利の整備されていない地方での配備が多かったのですが、阪神・淡路大震災以後、都市部での配備も進んでいます。国庫補助基準では水槽が5,000LのものがT型、10,000LのものがU型として分類されます。ここでは小型動力ポンプを積載していない車両も紹介しています。PTO駆動の水ポンプを積載している車両については水槽付消防ポンプ車のページに分類しました。

T型

下津町消防本部下津町消防署配備 シャーシ:日野P-FG192B改 エンジン:H06C(T)(6,485cc・151kW) ポンプ:B-3級小型動力ポンプ(富士ロビンP408R) 水槽:6,500L 製作:極東開発工業  

7t級シャーシをベースにした車両です。消防車メーカーの艤装 ではなく、特装車メーカーである極東開発工業製です。水槽を1,500L増槽し、6,500Lとし、放水用の小型動力ポンプの他に吸水用のPTO駆動のギアポンプを装備しています。小型動力ポンプ付水槽車はエンジンでポンプを回さないため、消防検定エンジンを使う必要が無く、この車両は消防車としては珍しいターボエンジンを積んでいます。



 

下北地域広域行政事務組合消防本部大湊消防署配備 シャーシ:日野KC-FZ1FJCA改 エンジン:F17D(V8 OHV直噴ディーゼル 16,745cc 235 KW) ポンプ:B-2級小型動力ポンプ(トーハツV75EM) 水槽:5,000L 製作:1996年 森田ポンプ

この車両は、降雪時の走破性を考慮し、8t級の除雪車用4WDシャーシで製作された車両です。最低地上高を高くするため、トランスファーギヤやドライブシャフトは高い位置にあります。キャブの位置が非常に高く、座席の位置まで約2mもあります。全長の割に背が高いので非常に大きく感じられます。全自動式小型動力ポンプを積載しており、運転室内と最後部の操作盤からエンジンの始動から吸水、圧力調整まで自動で行えるようになっています。


U型





今治地区事務組合消防組合消防本部今治消防署 シャーシ:日野KC-FR3FPD エンジン:F21C 水槽:10,000L 製作:1996年 小川ポンプ工業

標準的な大型水槽車で、この車両はGVW(車両総重量)22tのシャーシで製作されており、全長9.3mのロングシャーシを使っている為、キャブバックにスペースがあり、ここに収納ボックスを設けています。タンクはステンレス製で、後部放口に蛇口を取り付けることにより、渇水時や震災時に給水車としても使えるような構造になっています。ポンプはB-3級(シバウラ SF655E) 小型動力ポンプを積載しており、車両両側面と後部の計3箇所に設置された遠隔操作盤により、エンジンの起動、停止と圧力調整が出来るようになっています。また、油圧式のポンプ積載装置を装備しています。タンク左側には加納式輅車を積載しています。



 

太田地区消防組合消防本部太田消防署配備 シャーシ:日産ディーゼルKC-CW53B エンジン:RG8 水槽:10,000L 製作:2000年 モリタ

この車両はキャブバックに小型動力ポンプを配置したタイプの車両です。以前は大型水槽車というと前二軸のシャーシで製作されることが殆どでしたが、近年では操作性や艤装 の面等から後二軸シャーシで製作されることが殆どです。この車両は積雪時や悪路での走行を考慮してか6×4の2デフ車です。タンクはステンレス製で、後部に飲料水と書いてあるように、給水車としての機能も備えています。このような場合、補水は指定の消火栓や浄水場からしか行わない等のタンク内に汚れた水を入れないような工夫をしている消防本部が多いようです。タンク前側両側面には液晶表示式の水量計(ポンプ左横の銀色の四角い部分)を装備しています。(撮影したのですが、表示がうまく写らなかったので、掲載しませんでした)



ひたちなか市消防本部中央消防署配備 シャーシ:三菱KL-FS50JVZ エンジン:6M70(302kW) 水槽:10,000L 薬液槽:100L ポンプ:B-2積載(トーハツV75EMX) 製作:2001年 小池

22t級4軸シャーシで製作された水槽車です。北海道内ではこのような超大型の水槽車を見かけることがありますが、本州ではとても珍しいと思います。多機能な車両にということで製作されたため、車を大型にして、さまざまな機能や器具を詰め込んだ車両です。水槽は10,000Lのステンレス製の角型で、ポンプはB-2級の全自動小型動力ポンプを積載し、車両の左右、後部の3箇所から遠隔操作が可能です。また、100LのクラスAフォームを積載しているので、泡消火も可能です。屋根上には放水銃1基とリモコン式メタルハライドサーチライト(湘南工作所製)を2基装備しています。積載品は車両左側にクラスAフォーム(ポリタンク)、ホース、車両移動器、プロパック(ポータブル泡消火器具)吸管、スタンドパイプ等で、右側には、可搬型投光器、インパルス銃(2基)、空気呼吸器(3基)等を積載し、後部にはヤマハ製電動ホースレイヤーを1台積載しています。この車両は震災時や渇水時に給水車としても使えるよう、逆浸透式造水器を積載し、浄化された水を給水することが可能です。

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